DA BLACK HOLE SUPER TECHNIC 奥義大全

IP電話のキャリア(電話事業者)を見分ける

DAブラックホールでIP電話のキャリア(電話事業者)を切り分けることができます。

この課題に対する問い合わせが多くありますので、書き下ろすことにしました。方法は新旧併せて4つに大別できますが、初心者にもできる「解析タイムによる判定」から説明します。基礎の基礎から書いてますから、他の章とも重複する部分があります。既知の内容でめんどうな方は読み飛ばしても結構です。


技術的前提

〔DAブラックホール1.7 Standard以上〕
解析誤差60ms以内のDAブラックホールが必要です。
現在販売されている1.7 Standard 以上がこの基準に達してます(解析誤差50ms以下)。
もし入手可能であれば、1.7 Professional(同期補正により解析誤差20ms未満・事実上の検出限界)を使うのがベストです。
DAブラックホール1.6や未満ではここのコーナーの技法は使えません。

〔NTT INS64回線または3G(docomo)回線〕
できるだけNTT INS64回線を使います。
SBテレコムおとくラインISDNは、そのままでは使えません。※別の用途で使えます
自宅にISDNがない人でも、近所にISDN公衆電話があれば、そちらを使うほうが有利です。

〔ターミナルアダプタ(TA)〕
ISDN回線の場合、NEC Atermシリーズがマスト。他のTAでは精度に難あり。
やむなく3G携帯電話を使う場合は、docomo P-01F のUSB接続を選びます。


1. IP電話はDAブラックホールで、どう表示される?

なぜIP電話の切り分け「技法」が必要なのか

DAブラックホールの「アナログ表示」と「デジタル表示」の意味


〔やってみよう〕
電話番号 03-3***-7833 ← NTT東日本・フレッツ光「ひかり電話」です。
(私の実家です)

DAブラックホールでは、どのように表示されるでしょうか。

010

おや?「アナログ電話・FAX」と表示されますね。
IP電話はデジタルなのに、なぜ「アナログ」と表示されてしまうのでしょうか。

理由

DAブラックホールでいう「デジタル」「アナログ」とは、電気通信事業法の端末設備規則に基づく判断です。
端末設備規則 第6章「総合デジタル通信用設備」(ISDN)を「デジタル回線」と定義し、第4章「電話用設備」(もともとはアナログ端末のみ・現在は第3節~第4節にIP電話が追加された)を「アナログ回線」と定義してます。

それはなぜ?

DAブラックホールはもともとISDNを検出、分類する業務アプリです。
1995~2005年ごろの社会は「アナログからISDNへの転用(契約変更)販売」が盛んで、工事業者やアウトバウンダーにとってはISDNと「それ以外」を切り分けることが重要でした。音声電話網を詳細に判定することが今ほど重要視されてなかったのです。
DAブラックホールの判定アルゴリズムはバージョンごとに新しくなり、現在は移動体やアナログ細分にも対応してますが、端末設備規則第4章を原則アナログに判定することは、現在も変わりません。そうでなければ我々旧い使用者が混乱する原因になります。

 〔しかしこれでは…〕
端末設備規則第4章の固定電話が全部アナログと判定するなら、NTT東・西のアナログ電話とIP電話の区別がつきません。
これがDAブラックホールでIP電話の切り分け「技法」が必要になる理由です。
どうすればいいでしょうか?


2. 解析タイムを見よう

NTTアナログ固定電話と、IP電話のドライカッパ(ダークファイバ/直収ADSL)の解析速度には差がある


〔やってみよう〕
では続いて NTT東日本のアナログ固定回線 03-3***-7630 を解析してみましょう。
(実家の隣の喫茶店です。店内にピンク公衆電話を引いてたなごりでNTT東日本のアナログ電話を使い続けてます)

DAブラックホールでは、どのように表示されるでしょうか。

010

おや?「アナログ電話・FAX」…は同じですが、解析タイムが約400msec短くなりました。
なぜNTTのアナログは、IP電話より短く解析されるのでしょうか。

理由

この場合はNTTアナログのオーバーヘッドが少ないためです。

キャリアによって理由は様々ですが、IP電話宛の発信は、同じ局内でもいったんはVoIPゲートウェイを介してIPネットワークに入りGE-OLT(光回線終端装置)からGV-ONU(宅内終端)に抜けるまでの経路的・制御的オーバーヘッドがあります。それだげ交換機の応答に時間がかかります。

宅内ONUでも同じで、同じ町内の友人に窓際にONUを掲げてもらってプロトコルモニターの表示とLEDを見比べましたが、こちらもほとんど似たような速度差がかかっていました。

〔ポイント〕
IP電話を解析すると「アナログ固定回線よりも長く時間がかかる(遅延する)」。


3. (検証) IP電話の判別方法


抜群の精度のDAブラックホール1.7だからできることですが、結局この方法ってVoIP直収型の「ひかり電話」版ということになります。が、結論を急がずに、きちんと検証することにします。遅延するというだけでは直収電話と区別ができません。

現在、キャリア判別の三大技法として、単純差分法、修正差分法、管轄抽出法がありますが、今回は「修正差分法」について大まかに説明していきたいと思います。

修正差分法は、調べたい電話番号と同じ局内の「空き番号(欠番)」の解析タイムを読み、これに自局とPCの解析精度を足した値を超えれば「NTT東西以外」と考える技法です。

〔準備〕 ※業務用途の方は必須。 実験で試すだけならしなくてかまいません
DA社の「パーソナルサポート/キャリブレーションサービス」を依頼し、自システムと収容回線の測定速度のゆらぎを計測してもらいます。(1回 4,320円)

お客様PCの解析速度の精度は
±19ms
お客様の通信機器と収容交換機の応答精度(時間)は
±95ms (2014/9/20 4:01)

解析時間の精度 ±114ms

クラスA (優良) です

解析時間の精度 ±114ms です。
クラスAをもらいました。これなら簡単にIP電話の切り分けができます。
この値は、あとでとても重要になります。

精度がクラスB(±150ms以上)なら3回以上のタップ解析を要し、クラスC(±300ms以上)だとIP電話の切り分けが難しくなります。
クラスCは屋内回線が痛みがあると起きるようです。

あそびで切り分ける程度でなら、キャリブレーションしなくてもいいかもしれませんが、仕事などで複数のIP電話を切り分ける人は、信頼性の点からも年に1度夕方3~5時と朝方4時のキャリブレーション値をDA社に依頼したほうがいいでしょう。理由は次の項目でわかります。

〔やってみよう〕
インクルード機能で、さっと適当な番号帯をなめてみましょう。
(交換機が安定している深夜に行うとわかりやすい)

解析結果から、最初に「空き番号(欠番)」の解析タイムを読み、うちなるべく短い値をさがします。
ここでは03-3***-0506 の 913msec が最短値ですね。
では、法則を述べます。

法則 NTTのアナログ固定電話の解析タイム ≒ NTTの空き番号(欠番)の解析タイム

両者はほぼいつも同じなのです。
これによって、空き番号の解析タイムキャリブレーション値(ここでは114msec)を足した値を超えたアナログ固定電話があればIP電話または直収電話と考えて切り分けができます。

010

〔IP電話と直収電話の混在から、直収電話だけを切り出す〕
VoIP直収型で示したように、直収電話は相手方の地域のNTT交換局内まで到達したあと、そこで転送電話のような動作をします。このため解析時間が2倍程度かかります。この原理によって、直収電話を切り分けることができます。
もちろんこれで切り出されたリストには、まれに解析時間が長いIP電話やNTTボイスワープが混ざることがありますから、結果リストをさらにプレフィクス付でクリーニングするとほぼ直収電話だけを抽出できます。

検証結果

0AB-J のアナログ固定回線から、NTT アナログ固定電話と、直収固定電話をのぞいた回線は「IP電話」しかありません。
すなわち解析時間を見るだけで「IP電話」の抽出が可能です。


まとめ

  • DAブラックホールでは、IP電話はアナログ電話・FAXとして判定される
  • アナログ電話・FAX判定から、解析時間をもとにNTT アナログ固定電話と、直収固定電話をのぞくことができる
  • アナログ電話・FAXから、NTT アナログ固定電話と、直収固定電話をのぞいた回線が「IP電話」である

〔次の課題〕

この方法で抽出された「IP電話」のリストから、キャリア(電話事業者)を切り分けます。(詳しくはキャリアを見分ける・VoIP直収型

〔この説明でよくわからないという方〕

DA社の、アドバイザリーサポートで電話とリモート操作で習えます。

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