DA BLACK HOLE SUPER TECHNIC 奥義大全

About the appearance of him whom I saw. (Short Story of Mr. Haruka Yamazaki)

 DAブラックホールを語るうえで、作者の山崎はるか氏の存在を抜きには語れません。

 山崎氏を、説明するのは、とても難しいです。
作家でもあり、プログラマーでもあり、ストーカーの研究者でもいらっしゃる。

でも、どれも書籍や文献の情報で、ご存知の方も多いでしょうから、ここでは私が見たままを述べます。


 山崎氏は、私が某キャリアに勤務していたころ、その親会社の諮問機関の顧問をされておられました。 この諮問機関が、謎の組織で、正規の組織図にも ○○技術本部 としか書かれていません。
わかっていることといえば、当時のM副社長とT取締役の仕切りというだけで、それ以外の情報はまったくつかめませんでした。

 私が彼らの存在を意識したのは、神奈川県北部にある研究所での出来事がきっかけでした。
この研究所は、会社直属の施設で、専用の変電所を併設する大規模なものです。堅牢で首都圏では東京に最も近くにあります。
そこがある日、D70交換機・研修実験フロアの電源が部分的に落ちるという・・・「事件」と呼んでも差し支えないと思うのですが、トラブルがありました。
 その原因となる秘密実験を行っていたのがその諮問機関の一部隊(のちに「はるか隊」という名称とわかりますが)でした。その部隊のリーダーこそ、山崎はるか氏でした。

 氏は以前からUGTOPやハッカージャパンで活躍しており、彼を知る周囲は「なぜあの人が来てるのだ?」といくつかの憶測を噂しました。
 じつは、私はこのときまで、山崎はるか氏を 存じ上げませんでした。

そして、知った後も、かならずしも良い印象は持ちませんでした。
山崎氏は小柄な方なのですが、彼が社内を移動するときは、いつも周囲を目つきのおっかない人たちが取り囲み、本社の廊下の真ん中を、一団となって歩いているのをよく見かけたからです。
その時点での山崎氏は赤いストラップの ゲストIDカード・つまりお客様カードを身に着けていました。

 正直、お客さんなのに、なにさまのつもりだと、そんな印象を持ちました。

しかし、あとで分かりましたが、目つきの悪い彼らは山崎氏のお目付け役・監視役で、山崎氏が真ん中を歩いているのではなく、囲まれているから、真ん中にならざるをえないということのようです。

 それもそのはず、山崎氏は1993年に留守番電話のハッキングソフトを販売して大成功した方でした。
1993年といえば、ハッカー・ケビンミトニックと下村務が攻防戦を繰り返していた年なのですが、そのときすでに山崎氏はハッキング技術を「利潤」に転換することに成功していた人です。
ハッカー界の草分けのひとりとして著名で、そんな人が、謎の諮問機関にいるのですから、セキュリティ担当者が恐々とするのも当然だと思います。
たとえば、はるか隊が研究所に来るようになってから、研究所内の入退室セキュリティシステムが本社命令で、一斉に 磁気カード→ICカードに一新されました。
 また、私の会社では社内コンプライアンスの各種試験がプロパーには義務付けられているのですが、山崎氏はお客様にもかかわらず、この試験を受けさせられたようです。
 とんでもない人が、会社に来ちゃったものです。
(余談ですがご当人は「テスト」されたことにご立腹でmixiの日記に「失礼である」と書かれておられました。)


 彼らの秘密実験の一部があきらかになったのは、あるとき・本社のある部屋からの発呼量が瞬間的に増大したのが記録されたときです。
発呼というのは「電話をかける行為」ですが、社内のある階から約5分間に突然4,000不完了呼を記録しました。呼単位ドライバーのひとつにBHE/BHCA(最繁時呼量/最繁時発呼数)がありますが、理論的には20,000 BHCAクラスの負荷です。呼損は瞬間的とはいえ70%に達し、専門の方ならおわかりかと思いますが、これは ひとつの会社から起こせる数字としてはありえない数値です。
顧客側の回線には影響しませんでしたが、技術から本社に問い合わせが生じました。

 おそらく何かの実験が行われたことは間違いなく、理論的に独立しているとはいえ商用回線につながる交換機を実験に使うことは固く禁じられていますが、このときは誰もなにも言いませんでした。
そのフロアは多数の本社役員が詰めており、部外者はロックアウトされていたとの情報もありました。
つまりリスクよりも、そのときに得られた呼損値等のあらゆる値が、役員らにとっては非常に重要だったらしいのです。

 なお、その出来事以後、そういった「事件」の類は一切なくなり、かわりに、休憩室で技術者たちと普通に談笑する山崎氏を見かけるようになりました。
とりまきの雰囲気は変わり、山崎氏は緑色の嘱託用のIDストラップになってましたから、いわゆる「身内」になったのでしょう。
この人は何者なのだろうと思いつつも、その後、私は異動で別の階にお引越しになり、しばらく山崎氏をみかけることはなくなりました。


→(コールセンターの悩み)に続く

inserted by FC2 system